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2019/09/09
飲食店M&Aから学ぶ財務調査の重要性
こんにちは。小林です。
先日、飲食店M&Aの調査に行ってきました。つくづく調査の重要性を再認識させられる場面があったので事例として紹介させて頂きます。
【案件概要】
お好み焼き屋を関東を中心に多店舗経営。
創業者は他業界チェーン店の役員を勤め、脱サラして飲食業へ。当時珍しい関東でのお好み焼き業界へ。
お好み焼きは珍しいのもあり、当時は行列ができるほど。採算管理など管理面での重要性は二の次でも成長を続けた。
しかし、お好み焼き以外の飲食にも展開し、業績は悪化。メインのお好み焼きも競合やお客様の内食化などの影響を受け徐々に売上減少。気がつけば、借入が重く返済がままならない状態へと陥った。
資金繰りが厳しく、複数店舗の半数を譲渡対象にM&Aを希望。
【調査概要】
顧問税理士は部門別に会計処理をしておらず、各店舗では損益月報など作成していたものの、費用計上に漏れがあり、共通費も含めた大きな視点での業績管理は見える化できていなかった。
基本合意後、現状の利益水準での大まかな金額感を買手売手ともに協議するが、その際は上記の損益月報・会長の利益感覚での議論となった。その際に、出てきた金額は2.0億円。ここから、財務調査を経て、調査結果を踏まえ最終合意の金額へと進んでいく形となった。
日どりを決め、いざ財務調査。経理面は会長の息子の社長が担い、記帳全般を税理士に任せる状態であった。調査の過程で部門別会計を概算で実施することに成功。その結果買収価格が当初2.0億であったのが1.2億まで引き下がった。
引き下げの要因は、月次報告では税込処理を行い消費税の影響を加味していなかったこと、社会保険料の会社負担分を本社経費にしていたこと等、経営分析をする際には考慮する基本的な事項を調整しただけである。
それだけでも、このように買収価格に大きな差が生じてくる。これで財務調査がなかったらと考えるだけでもぞっとする今日この頃である。